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誰もが覚えていないほどの昔
世界結界が生まれるより遥か昔のこと
そこには強い力をもつ者が居た
その者は世の男を惑わす美貌と雪を操る力を持ち
その能力で傍若無人を尽くしていた
その行為を良く思わない者は当然居たが、その強大な力を前に何も出来ずに居た
しかし有るとき、些細な利害の一致から彼女はある勢力と敵対することになる
最初の一回こそ退けたものの多勢に無勢
さらにこの機会にと彼女を裏切る者が身近に幾人も居たため
二回目の戦にはついに強力な呪術で封じられ捕らえられてしまった
捕らえはしたものの、その呪術は外からの干渉も断絶してしまう特性故に
封術を貫通させ彼女を殺めることは困難であった
結果として彼女はそのまま固く封じ続けられることとなった
この話には続きがあることを付け加えておこう
気が狂う程の時間が流れ、その封術は次第に劣化しているそうだ
しかし封が破られるほど劣化した頃には既に世界結界が完成しておりその封が破れることは無い
だがもし世界結界がその力を弱めたなら封が解け彼女は再び目覚めるかもしれない
もしも封が解けたなら彼女も即座に世界結界の影響で力を弱めてしまうだろう
それはこの術が力づくに破られたなら、呪術を完全に消し去る前に世界結界の影響を受け呪術が中途半端に残る可能性を指す
もしもその呪術の特性が中途半端に残り、その作用によって彼女の力が再度保たれたなら
この地域は再び氷と雪の支配下に置かれることだろう
ただただその様な事が未来に起こらぬことを願う
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…一体何時の時代のものだろうか
もしかするとこの建物がまだ存在すること自体が奇跡なのかもしれない
だがこの雑記は誰の目にも触れないままその形を失っていくのだろう
何故ならそれは人々に忘れられた地にあるのだから
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